第1章 5文型 ― Lesson 3: 品詞の基礎の基礎(2)
はい、では前回のつづき。
形容詞と副詞の違いです。
形容詞と副詞が紛らわしいのは、この両方ともが「他の語を飾る品詞」だからでしょう。
「きれいな → 花」
とか、
「上手に → 描く」
といったふうに、形容詞と副詞は、他の語を修飾します。
(逆に言うと、他の語を飾る働きをする品詞は、形容詞と副詞のみです。)
そうすると、何をどんなふうに修飾すると形容詞なのか、はたまた副詞なのか、という話になってくるわけで、そこをちゃんとやっておかないと区別ができないことになります。
形容詞と副詞の区別ができないと、5文型はちゃんと理解できません。
それでは順に見てみましょう。
形容詞
形容詞の基本的な働きは、「名詞を修飾する」、です。
置かれる位置は、通常、名詞の直前です。
具体的に見てみます。
これは高価なカメラです。
(高価な → カメラ)
an expensive camera(高価なカメラ)の expensive(高価な)は、camera(カメラ)という名詞の前に置かれ、その camera という名詞を修飾しているのがわかると思います。
このように、名詞を飾るのが形容詞の主な役割です。
繰り返します。
形容詞が修飾するのは名詞だけです。
それ以外のものは飾らないでください。
それが形容詞を理解する最重要ポイントです。
ところが、形容詞には、もう1つの使い方があります。
例えばさっきの文は、少し作り変えますと、
このカメラは高価です。
( カメラ = 高価 )
とすることができます。
この場合の形容詞 expensive は、名詞に直接くっついているわけではないので、さっきとは使い方が違います。
しかし、結局はこの expensive も、主語である名詞 camera のことを説明していることに違いはありません。
このように、形容詞には、名詞の前に直接くっつかずに、間接的に主語や目的語(← 後に説明します)になっている名詞を説明する使い方もあります。
名詞にくっついて飾る方を限定用法、くっつかずに説明する方を叙述用法と言いますが、そういう細かい話はまたいずれ。
とりあえず、形容詞は名詞を飾ったり説明したりする、ということをしっかり理解してください。
副詞
では、副詞の働きとは何でしょうか。
副詞が飾るのは、形容詞、動詞、他の副詞、文全体、などです。
そう言われるとややこしいでしょうけれども、要は、名詞以外を修飾するのは全部副詞と考えればOKです。
もう一度整理します。
他の語を飾る働きを持っているのは、形容詞と副詞だけ。
そして、それぞれは……
形容詞 = 名詞を修飾
副詞 = 名詞以外を修飾
これだけです。
副詞の働きは、「名詞以外を飾る」ということが全てで、他の用法はありません。
名詞以外を飾るものは何でも副詞。
それが副詞の全てです。
具体的な例をあげておきますので、イメージをつかんでください。
このカメラはとても高価だ。
( very は expensive という形容詞を飾る副詞)
彼はゆっくり話す。
( slowly は speaks という動詞を飾る副詞)
彼はあまりにもゆっくり話す。→ 彼は話すのが遅すぎる。
( too は slowly という副詞を飾る副詞)
幸いにも雨は降っていなかった。
( Fortunately は、it was not rainy という文全体を飾る副詞)
このように、名詞以外のものを修飾していれば、すべて副詞です。
さらにもっと端的に言ってしまうならば、「いつ」「どこで」「どのように」などの内容を表すのはすべて副詞、とも言えます。
I went to the zoo yesterday.
私は昨日動物園へ行った。(いつ)
I met him there.
そこで彼に会った。(どこで)
He can play baseball well.
彼は上手に野球ができる。(どのように)
たいへん大雑把ですが、差し当たってはこような理解でもかまいません。
さて、これで8つの品詞について、だいたい理解できたでしょうか。
特に、(代)名詞、動詞、形容詞、副詞、前置詞の概念は重要です。
それをふまえた上で、次は、句や節という考え方に移りたいと思います。